社会保障制度としての後期高齢者医療制度

社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生からなる社会保障制度。
後期高齢者医療制度は社会保険の中の医療保険の一部として施行されています。
後期高齢者医療制度が社会保障制度の中でも特に重要視されるようになったのは、日本の人口の構成割合が大きく変化したことと関係しています。
1990年において日本の総人口はおよそ1億2361万人でしたが、そのうち75歳以上の後期高齢者の人口はおよそ597万人でした。
これは総人口の5パーセントに相当する割合で、この頃はまだ大きな問題とはなっていませんでした。
社会保障制度の見直しが本格的に検討されるようになったのは2000年代に入ってからで、2000年における後期高齢者の割合は、全人口の13パーセントまで増加しました。
その一方で生産年齢人口の割合は減少していることから、社会保障制度のありかたについて、変革が求められるようになりました。

人口全体における後期高齢者の割合はその後も増加し続けたことから、社会全体で後期高齢者を支えることができるような、社会保障制度の実現が検討され、その結果として施行されたのが後期高齢者医療制度です。
従来の後期高齢者を対象とした社会保障制度と大きく異なっているのは、後期高齢者のための医療費を誰が負担するのかということが、より明確な点です。
後期高齢者医療制度においては、後期高齢者の医療の負担割合がそれぞれ決められていて、若年世代が給付費の40パーセントを負担するような仕組みになっています。
高齢者が給付費の10パーセントを負担することも、後期高齢者医療制度の特徴です。